「関東の中で東京の汚染が最も危険な本当の理由!」が危険な本当の理由!
こんにちは。ブログ一周年記事書いてから半年以上放置するという体たらくなのですが、ぼちぼち再稼働したいです。
揚げ足記事が一番執筆モチベーションあがるということで、今日のネタは、今朝母*1からメールで送られてきたこちらのブログ記事です。
当該記事の内容は、アメリカ国家核安全保障局(National Nuclear Security Administration、以下NNSA)が3.11以後東京の米国大使館施設などで行った空気中の放射性核種濃度測定データを紹介し、事故後の東京都中心部でストロンチウム90が69000 Bq/m3, ストロンチウム89がなんと61万 Bq/m3も検出されていた!死ぬ!政府はどうしてくれるんだ!という調子*2。
善良な読者は「マジで??やばくない?」と浮足立つわけなんですが、ちょっと立ち止まって考えてみると、いくらなんでも高すぎる気がします。朝日新聞の記事によれば、「国内で記録されたストロンチウム90の最高値は1963年の仙台市での358ベクレル」(たぶんBq/m3)とのことなので、核実験真っ盛り時代の192倍も放射性核種が都心に飛来していたら、さすがに大騒ぎになっていることでしょう。
そこでちょっと調べてみることにしました。 元記事には参考にしたデータへのリンクがなかった*3ので、自力で探してみたらNNSAのホームページにそれっぽいプレスリリースが見つかりました。
http://nnsa.energy.gov/mediaroom/pressreleases/japandata
プレスリリースのリンクが切れていた*4ので、米政府のデータ公開サイトで検索をかけたところ、おそらく元記事で参照したCSVファイルがみつかりました。
こちらがデータの解説PDF。
CSVをダウンロードしてNumbersで開いて米国大使館("Embassy")とストロンチウム("Sr")でフィルタかけて時系列順に並べ直したのが以下のスクリーンショット画像です。
Result列のストロンチウム濃度値を見てみるとだいたい10-13から10-15µCi/mLのオーダーで、Bq/m3に換算しても0.001~0.00001という微々たる値にしかなりません。アレ?61万どこ行った?
唯一それっぽい桁の数値は、最初のスクショの上の方にあるのですが…、よく見るとここだけ単位がµCi/mLではなくµCiになっています。
これを誤ってµCi/mLだと思って計算してしまうと、ちょうど元記事の内容に合致する69714 Bq/m3(ストロンチウム90)と610472 Bq/m3(ストロンチウム89)という数値が出てきました。
ここでちゃんとVolume列にある採集大気量で割って単位を他に合わせてみると、ストロンチウム90:4.28*10-15、ストロンチウム89:3.9*10-14(単位: µCi/mL)と通常通りの数値です。元記事には「『放射線業務従事者が常時立ち入る場所』で、ストロンチウム90の濃度限界は5ベクレル/立方メートルとされています。」と書いてあり、それより全然低い。よかった。
日本政府には、アメリカから伝えられていたでしょう。 しかし、隠し通してきました。 膨大な、それも英語の資料なので、 これまで、誰も大きく取り上げることがありませんでした。 私は、当ブログに来訪されている方からの情報で知り、 数日をかけて、細かく解析を進めた次第です。 (http://ameblo.jp/64152966/entry-11812724061.html)
たしかに放射能はこわいし、できることならクリーンなエネルギーで快適に暮らしたいのは僕も一緒なのですが、さすがに数値計算で大暴投した記事で不安を煽るのはダメですよ。たとえ「数日をかけて細かく解析」した結果だとしてもね。